インタビュー第2回・IHI副社長 昼間祐治さん<2>

昼間祐治さん(62)
露文卒業生。世界をリードする重工業メーカー「株式会社IHI」で
「副社長執行役員営業・グローバル戦略本部長、副社長」を勤める。
今回のインタビューではご自身のご経験談を交えつつ、
学生達に向けてのメッセージを語って頂きました。




■メディア、マスコミに強い露文から、異例の産業界へ

—-大学ご卒業後すぐにIHIに入社されたのですね。

はい、そうです。

—-入社後にすぐロシアに行かれて、ロシア語がすぐ役に立ったということになりますね。

ええ、でもロシア語で入社試験はしていないんです。外国語系で入っていないんです。ロシア語を試験する試験官がいなくて。「君は政治経済系と一緒に試験を受けてくれ」ということになりました。私自身の卒論は、当時安井先生という方がいらっしゃって、ロシアの社会思想を選び、プレハーノフの論文をテーマにしました。文学系ではなくて、初期の経済学に近いものです。そういうことで入社したんです。

—-卒業後の進路として、露文はメディアやマスコミ系に強いイメージですよね。キー局や出版社、広告代理店とか。

モスクワ駐在時、当時は日本の新聞社やテレビ局の駐在員の半分を露文が占めていたんです。露文会というのをやると10人くらい集まりました。あんまり産業界へ進む方は少ないですけれど。(笑)


■誰かが何かやってくれるのを待ってたら何もできない

—-入社後はどの様なお仕事をされていたのですか?

会社に入ってすぐやったのが化学プラントの管理。何かというと業績の検討をやるんです。まずソロバンができない。まわりはソロバン一級の人ばかりですよ。それで会社に入って簿記を最初に勉強しました。おかげで半年で損益計算書バランスシートを作れるようになりました。ですから、会社というのはありがたいです。給料をもらって勉強できるんですから。

中途半端だったら仕事も勉強もやめたほうがいい。仕事をやる上でこの考えは大事なんです。やると決めたからには、多少の犠牲をはらってもやりとおす。そうするとある時できるようになるんです。私は会社に入ってからも一時は寝るのが勿体無いと思ってました。1日睡眠時間3時間というのが10年くらい続きました。出張の移動時間とか寝ましたね。やってみようという志を持ったらけっこうできるものです。大事なことは誰かが何かやってくれるのを待ってたら何もできない、ということでしょうか。会社の人にも言うのですが、自分らしさを出すような仕事をやる、そういう姿を周囲に見せるとまわりは自然と支援してくれるものです。

若い人は能力も可能性も無尽蔵です。それを広げる努力をする。そういうマインドをもって自分なりに努力する、チャンスを増やすための努力が必要ですね。自分ひとりの力だけでやっていこうという考えや、自分だけで将来をきりひらくというのは難しいです。
友達や助けてくれる人を増やしていく努力が大事なんです。

—-勉強になります。

モスクワに滞在したのは最大10年。そしてその後NYに2回駐在してアメリカにいたのは12年になるんです。要するねロシアだけではなく、世界の1つとしてのロシアなんです。日本人でモスクワとアメリカの駐在をやった人をあまりいないと思います。商社で1人2人いるかどうか。産業界では私だけでしょうね。そういうチャンスもあるんだよということを皆さんにはわかってもらいたい。

また日本に帰ってからもロシアの仕事をしました。そうしますと様々な方からの問い合わせが来るようになります。ただしロシアを知っているだけでは駄目です。アメリカやアジアのことも知らないと。私の場合会社の規模もあり、世界の原子力どうしましょうとか、ロシアのインフラ整備をどうしましょうか、そんなことに関与していきました。要は視野をすごく広く持つことですね。


■会社は何を勉強したかよりも人を見る

面白いのが、ロシア人と話していて、その内容がグリボエードフと一緒だねとか言うと相手が驚くんですよ。そういうところで少し役に立っているかな。

要するにね、ビジネスに大事なのは知性です。頭の良さじゃない。一生懸命勉強してきて、知性と品格を身に付けてきた人が仕事ができるんです。ただし学校で勉強しているうちは、知性も品格もあるかどうかまずわからない。それを身につける方法もわからないし、学校ではそれを磨く機会もない。社会に出て十年二十年たってわかるようになる、じわじわっとね。そういうチャンスを露文の人に持ってほしいと思いますね。

—-どうしたらいいでしょう?

手っ取り早いのは私のみならず、もう少し目を開いていろんな人と対話をするのが良いのではないでしょうか。社会がどう動いているかを学生に理解してもらう。そういうのが大事だと思います。当社は毎年技術系で300人。文系で350人採るんですけど、企業は人で見ますから。この人は大丈夫と思えばどんどん採る。そういう対象にまずなってもらうということです。

当社のロシアプロジェクト部は今10人くらいで、露文出身者が今のロシア駐在所長やってます。あとウズベキスタン人でアジア太平洋研究所のドクター出た人が1人います。企業はどんどん外向きの仕事をはじめているので、そんなことも知ってもらいたい。
みなさんロシア語を勉強したら商社かなと思うでしょうが、大手商社より当社のほうがロシア語を使っていると思います。今モスクワのベンチャー事業でロシアに20人くらい行ってます。終わって戻ってきたらまた別の仕事をすることになりますが、その経験が生きるんです。ロシア一つにしてもいろんな仕事の仕方があるんです。

<3へ続く>

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