ロシアのアンティークカメラ・ロモ

ロモカメラについて

昨今、日本でひそかに”トイカメラ”なるものが流行っている。”トイカメラ”とは、比較的組立の構成が簡単な箱型で安価なカメラのことで、通常のカメラと は違い書店・雑貨屋などで販売されていることが多い。(気軽に手に取って始められることが、トイカメラへの門戸を広くしている要因だと考えられる)

その中でも、特に愛好者の多いのがロモ製のLOMO LC-A(1983年に発売された自動露出の35mm判コンパクトカメラ。ソ連国内で年間150万台販売されたが、ソ連崩壊後は日本製コンパクトカメラに 押され生産を中止した。その後、2005年4月末にロモ社でのLC-A生産は終了したが、2006年に機能を追加した「LOMO LC-A+」として生産が再開された)とSMENA8M(ロシア語で「若い世代」を意味する“CMEHA”の名を冠したフルマニュアル構造のコンパクトカ メラ)である。

ロモ(LOMO、ЛОМО)とは、ロシアの光学機器メーカー、レニングラード光学器械合同(ЛЕНИНГРАДСКОЕ Оптико-Механическое Объединение)によって製造されるカメラ製品のブランドのことで、ロシア革命直前の1914年にサンクトペテルブルクで設立された。当初はウラ ジーミル・レーニンの指示で映画用のカメラの製造などを行っていた(内戦中のソヴィエト政府にとって、映画は重要な宣伝手段であり武器に等しいと考えられ ていた)が、不安定な社会情勢のため工場は度々休止し、国有化に伴う何度かの名称変更を経て、第二次世界大戦が始まるまで「スメナ」などの大衆向けカメラ と報道用カメラを製造した。

1941年、ナチス・ドイツとの大祖国戦争に勝利したソ連は、カール・ツァイスなどのドイツ企業から光学技術や生産設備を接収 して復興に利用した。戦後のLOMO(当時の名称はGOMZ) は軍用光学機器の生産拠点として重点的に復興され、産業用や医療用の光学器械の生産も行った。これと平行して大衆向けのカメラも生産された。1965年、 名称をLOMOに変更し、今なお宇宙開発、軍事、民生部門におけるロシア有数の光学工場として天体望遠鏡、顕微鏡、電子顕微鏡などを生産している。(現在 はカメラ生産からは撤退している)

ソ連国内での人気が低迷する一方、ウィーンなど他の欧米諸国では前衛芸術家が率先してロモカメラを撮影に使用し、「ロモブーム」と呼ばれるカルト的な人気 を生んだ。品質の不安定な生産ラインから生み出される一台一台微妙に異なる描写、レンズ設計上の欠陥による画面周辺の極端な光量落ち(これは「トンネル効 果」と呼ばれ、ロモ独特のスペックとして有名である)、現像してみるまでどのように写っているのかわからない偶然性は、通常のカメラと写真に対するアンチ テーゼと受け止められ、若者たちに歓迎された。現在に至るまでロモカメラは「生活すべてが被写体」を信条とする芸術家を主体とするアマチュア写真家やトイ カメラ愛好家の必需品であり、Lomographyと呼ばれる視覚芸術の一分野をリードしている。

自動ですべてを調整する手軽で多機能・高性能なカメラが 街にあふれる時代に、焦点が曖昧で色調の崩れとハイコントラスト、それでいてどこか懐かしく、優しい雰囲気に包まれた画像が意図せず現れるロモカメラは、 目まぐるしく変化してゆくデジタル化の波に飲まれ疲弊した現代に生きる私たちをアナログでノスタルジックな世界に案内してくれる道標なのかもしれない。

参考文献
・[ Lomography Japan Presents : LC-A : the lomo-compact-automat ]
http://www.lomography.jp/microsite/lcajp/
・SMENA8M SpecialWebSite
http://www.superheadz.com/smena8m/index.html
・トイカメラ – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%82%A4%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%A9
・ロモ – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%A2

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