サンクト・ペテルブルク(ロシア)留学体験記(2013年秋〜)

昨年(2013年)9月からサンクト・ペテルブルクに留学している丸山健介さん(3年次秋学期に留学へ)の留学体験記です。「ロシアでの生活もあと数日」に迫った丸山さんの、ストレートな思いが伝わってくる素敵なエッセイです。

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こんにちは、露文4年の丸山です。昨年の9月からロシアのサンクトペテルブルクでロシア語を勉強していますが、ロシアでの生活もあと数日となりました。留学生がよく言う、「長かったような短かったような」そんな気分です。同時に「帰りたいような帰りたくないような」気持ちもあります。

僕が露文の生徒だと言うことを話すと、友達は「ロシア語で喋って」といいます。適当にテスト前に覚えた例文を話すと友人らは満足しますが、と同時に人に「ロシア語を勉強していた」といえるレベルになりたい、と思いました。サークルとバイトに明け暮れていて単位を落としているような僕にとって一発逆転のチャンス、そう、留学するしかない。と思ったのです。

やる気に満ちあふれてペテルブルグに到着したものの、待っていた環境は、良いとは言えないものでした。サンクトペテルブルクの留学生を悩ます一番大きな問題――それは寮です。とりわけ、私費留学生は大変です。正規の寮は満室であるためホステルに住むことになるのですが(2014年現在)、8畳に三人でもちろん机はなく、キッチンは60人で一つ、トイレには鍵が無い等…。ここに住む生徒達は、いかに寮を脱出するのかを考えて暮らします。僕は結局ロシア人の友達に部屋を紹介してもらい、半年後に引っ越すことに成功しました。

このロシア人の友達は、17歳の高校生です。3年間日本語を勉強していますが、とても上手に話します。「どうしてそんなに上手に話せるのか」と質問すると、「インターネットで日本人の友達を作り、スカイブで毎週話していたからだよ」と言いました。現代の技術はすごいな、と思うと同時に、その行動力の高さだったり意識の高さであったり、尊敬してやみません。留学しなくても外国語をこんな高いレベルまで持っていくことはできるのだなあ、と感心しました。

それでも僕は留学をしてよかったと思います。

留学生活の序盤において、ロシア語を勉強する理由は、”より良い生活をするため” でした。言われるままに頷き、余計なモノを買わされたりしたとき、「次回からはこの言葉を使ってこう言おう」と考えたり、スーパーで惣菜を買う時に「怒られないようにこう言って…」と考えたりなど。このような体験は留学ならではだと思います。

そのほかにも、ロシアはとても面白い国です。ゴミ箱にタバコの吸い殻の火を消さずに捨てるため、街中でよく”火事”が起こっているのを目撃したり、本当に美味しそうに歩きながらアイスを食べているおばさん、電車の車両には「タバコを吸うな、喧嘩をするな」と書いてあったり…。笑わせてくることが多々あります。

この間アメリカ人、ドイツ人、ウクライナ人とバーに行く機会があったのですが、彼らは村上春樹の作品がとても好きだと言います。その時のメンバーの中で日本人の僕だけ、村上春樹の作品を読んだことがありませんでした。ちなみに、アメリカ人の子の一番お気に入りの日本人の作家は、安部公房だそうです。彼は日本文学専攻でもないのに、日本についてよく知っています。尊敬すると同時に、自分の教養の無さを恥じました。これから精進していきたいと思います。

これらの発見や体験は、なかなか日本にいては難しい部分もあると思います。東京から出たことの無い僕にとって、別の環境で暮らしたこともいい経験になりました。サンクトペテルブルク大学には日本人留学生は20人から30人ほどいますが、ロシア語のレベルがとても高く、日本の他大学での授業のことを聞いたりするのもいい刺激になりました。

留学先についてですが、これはよく考えたほうが良いと思います。留学する前の情報収集は大切です。面倒臭い部分ですが、よく調べ、自分の目的に合った都市、大学をおすすめします。ちなみに、ペテルブルグにはロシア語を勉強できる大学はペテルブルグ大学だけではありません。ペテルブルグ大学での授業は聴解、会話、読解、文法、ライティングといった感じで、ロシア語検定対策の授業が主だと思います。生徒の構成はクラスにもよりますが、全体で半分以上は中国人です。クラスがアジア人だけ、というのも珍しくありません。中国人の友達はみんな親切で、テスト対策を協力してくれたり、一緒に中華料理を食べに行ったりと楽しいのですが、廊下に貼ってある張り紙がロシア語と中国語の二言語で書いてあるのを見ると、どこの国に留学したのかわからなくなるときがあります。ペテルブルグ大学では、他学部の授業を聴講したりもできるそうですが、部活動が活発であったり、ゼミがあるモスクワ大学がうらやましくなるときはあります。検定対策ならペテルブルグ大学をおすすめします。僕の場合、主な目的はロシア語力を上げることだったので、ペテルブルグで良かったと思っています。街も勉強と遊びを両立するのにちょうどよい大きさだと思いますし、一回の旅行では見きれないほどの観光名所がたくさんあります。特に博物館は多いので、積極的に行かないと一年間留学をしていても見きれないと思います。

最後に、10ヶ月間住んでいると途中でやる気が無くなったり、嫌になることもあると思います。そういう時は、全部投げてしまってもいいと思います。重要なのは、その後元の生活に戻ってくることだと思います。「そろそろ授業に行くか。」といった感じで。初心に返って、自分が何のためにお金を払い、面倒な手続きを踏んでここまできたのかを確認するのも重要だと思います。

この10ヶ月は、まさに人生の冬休みでした。帰国してからもロシアとのつながりを持っていけたらいいなと思います。

休日に夏の到来を喜ぶ人々

宮殿広場でのオペラのコンサート

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