モスクワ留学レポート

昨年9月からモスクワ大学に留学中の露文4年生大塚頌子さんから留学レポートが届きました。
非常にまじめでクールな大塚さんらしい報告です。
2月末から1ヶ月の短期留学に渡った後輩たち、共に長期留学中の同級生たちと一緒の写真も添えられていました。
では、大塚さんのレポートです。

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こんにちは。 モスクワ大学に10か月の予定で留学しています、露文4年の大塚です。
昨年から今年にかけて、モスクワは暖冬でした。-30℃に近づく日もありましたが、ほんの少しの間で終わってしまいました。過ごしやすいのは良いですが、折角だからロシアらしい厳寒を味わいたかったと、少し残念な気もしています。最近は、日に日に日照時間が伸びています。昨日はこの時間暗かったのに今日は明るい、というくらい本当に日に日に。

私はあまり観光もせず、部屋やカフェに引きこもっていることが多いので、あまり有益な情報をお届けすることはできませんが、普段の生活やロシア語について少し書かせて頂きます。

モスクワは、もちろん日本に比べて不便なことはありますが、高水準の清潔やお洒落や快適さを求めなければ不自由なく暮らしていけます。日本で留学体験記などを読むと、悲惨な()暮らしを強いられるように思えますが、実際暮らしてみれば何のことはありません。たとえば「洗濯機がないので洗濯は手洗いでしなくてはならない」と聞くと、なんて酷い!と思いますが、実際経験してみれば、それほど大変ではないし、むしろよい気晴らしになるくらいです。物が無い、壊れている、使えない等の話は多々ありますが、面白いからよく話されるだけです。

私も日本に帰ったら、エレベーターに閉じ込められることがあるとか、電球がガラスの部分だけ取れて落っこちてきたとか、トイレが工事中で毎週形が変わるし、たまに隣の個室との間を塞ぎきれてないとか話すでしょうけど、そういうこともあるというだけです。普通に暮らしていけます。普通の暮らしを、たまにちょっとした予想外の事件が楽しく彩ってくれなくていいのに彩ってくれちゃったりする、という程度です。

大抵のものは手に入ります。(先日ロシアにも冷えピタのようなものが存在することを知りました) 気を付けていれば、そこまで危ないこともありません。もしもロシアなんてもう嫌だ!!と思ったら、バルト三国や北欧辺りに足を伸ばせます。日本から旅行するのに比べれば、はるかに気軽に行けますし、ロシアと比較すると、全てが素敵に感じられて感動しますよ。

そういうわけで、私は生活に関しては殆ど悩みなく過ごしています。逆に、日本では思いつかなかったけれど、ロシア語を話す機会がないというのが、一番大きな困りごとでした。そんな馬鹿な、という感じですが、ロシアに留学に来ているというのに、案外ロシア人と交流する機会がないのです。授業はロシア語で行われますが、ロシア語を学ぶためのクラスなので、クラスメイトは外国人です。買い物に言っても「買い物袋は要りません」と「ありがとう」以外に使わない時が多いです。寮のルームメイトも、大抵日本人か他の国の留学生です。

モスクワ大学は、びっくりするぐらい日本人学生が多いですし(私の住んでいる階は大多数が日本人です)、日本人コミュニティもしっかりしています。ロシア人と関わらなくても生きていけてしまいます。日本人留学生の多くは、ロシア人日本語学習者との交流会に参加して、気の合う人を探すようです。本当はそうやって積極的にロシア語で話しかけて、コンタクトをとり続けていくというのが良いのだと思います。ですが、私自身は、沢山の日本人対沢山のロシア人という環境だと、どうしても消極的になってしまい、疲れるだけ疲れて帰るという感じだったので、こりゃだめだと早々に諦めました。

結局、ロシア語はラジオでも聞ける、カフェでも盗み聞きできる(笑)ロシア語を話す機会が少なくても、その少ない機会に、蓄えたものを出せばいい。一日机に向かってロシア語だけを勉強できるのも、他の勉強やアルバイトやサークル活動に追われていた日本では絶対にできない、留学中だからこその特権、と割り切って、ロシア語で話さなきゃと焦るのは辞めました。そうしていると、カフェで話しかけられたり、意外とロシア人と話す機会が転がりこんできました。

私はクリスチャンで、ロシアでも教会に通っているのですが、嬉しいことに、その教会の方と話す機会も増えてきました。最近、「しょうこは喋るのはゆっくりだけど綺麗に話すね。速く喋れるようにするのはあとで簡単にできるから大丈夫だよ」と言われて、机に向かっておいてよかったと、とても嬉しくなりました。一口に留学といっても、座学と実践と勉強と娯楽と家事と睡眠と消費と節約とその他諸々、どんなバランスでどう生活するかは本当に人それぞれです。

最後に、ロシア語は難しいです。いつまで経っても終わりの見えない、接頭辞やら接尾辞やらの無限の組み合わせの中を、延々泳いでいる気分になります。いつになったら使いこなせるようになるのでしょう?(泣)留学したらペラペラ喋れるようになるというのは幻想で、むしろこんな簡単なことも表現できない、これも聞き取れないと、駄目なところをどんどん自覚する日々です。

特に聞き取れるようになるためには、慣れが必要なようで、こちらに来たばかりの時は、本当に何も聞き取れず焦りました。全て知っている単語の組み合わせなのに聞き取れない時すらありました。日本では講読の授業が多いので、全然耳が慣れていないし、そもそも語彙が偏っていて実生活ではあまり使わない詩的な単語は知っているのに、口語表現は知らないし、読んで意味が分かる単語でも自分の口からは出て来ないしと、足りないところだらけです。でも、「ロシア語難しすぎる」「これ欠陥言語なんじゃない?(失礼)」とか唸りながら楽しく勉強しています。少しは精神的にも成長していたら嬉しいですが、どうなんでしょう。

早稲田大学文学部ロシア語ロシア文学コース4 大塚頌子

モスクワ大学に露文大集合。長期留学メンバーと短期留学メンバー。


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短期留学組も無事に帰国してきました。
長期の学生たちは、残りの3ヶ月間を元気で過ごしてきてくださいね。
皆の元気そうな顔を見ることができて嬉しい報告でした。

文責:高柳

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